放射性セシウムの挙動

福島の小流域における137Cs負荷量の推定

半減期が30.1年に渡る137Csの流域での実質的な滞留期間を把握するために、福島県の小流域を対象として137Cs負荷量の推定を行い、137Csの流域からの消失年数を推定した。

2013~2015年の137Cs総負荷量は懸濁態が2.41×108~6.8×1010 Bq yr-1 km-2,溶存態が8.7×105~5.76×107 Bq yr-1 km-2であり、流域総沈着量(5.13 TBq,2012/ 12/ 28現在)の0.1~29%に相当すると推定された。特に50mm day-1以上の降雨発生時の137Cs流出は総負荷量の70~90%に相当すると推定された。しかし、推定した137Cs総負荷量の不確実性は3オーダーの範囲に渡るため、本研究の137Cs総負荷量推定値も同等の誤差を含む可能性がある。点推定による137Cs負荷量から実質的な137Csの半減期は2.17年であり、今後30年以内に流域の137Csは総沈着量の0.007%まで減少することが示唆された。