物理や化学は法則が比較的はっきりしていて理路整然としているのに、生物は現象論的で雑然としているという大雑把なくくりはそろそろやめたほうがよいのかもしれません。高校の生物の教科書が急速にその内容を肥大化させていることに象徴されるように、生物に関する知見は膨大になりつつあり、かつ、かなり体系化されてきているように思えます。そもそも現実の世界にあって、このような教科の区分はまったく意味がないことであって、私たちの日々の生活は、つねに、無機的な環境から有機的な環境までが混然一体となった複合体として粛々と進行していく時間の中に置かれています。ですから、ことさら違いを強調し、ひとつの専門分野に閉じこもることは、世界のことをそれそのものとしてわかろうとする意思を放棄しているようにも見えます。とはいえ、学ばなければならないことが多すぎて世界をそれ自体として多面的に理解することはそうたやすいことではありません。私も全然だめです。それでも少生物と環境を一連(ひとつらなり)のものとして理解したいと常日頃思っています。それで、生物と環境、あるいは、有機的存在と無機的存在、その違いはなにか、といったら、やっぱり「情報」なのでしょう。